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2013年5月10日

人材ビジネスの市場動向

人材関連ビジネスの総市場規模を見ると、2011年度は5兆7,485億円(前年度比2.0%減)で、 ピークであった2008年度に比べると43.7%も減少しているという結果になった。 2009年度での30%近い大幅減少と比べると縮小率は落ち着いたが、減少基調は今なお継続している。 2012年度予測でも減少基調は続き、前年度比3.3%減の5兆5,565億円を見込む。 ただ、個々の市場を見ると、「人材派遣業」以外は2011年度、2012年度とも100%を超えるという結果に落ち着き、 「人材派遣業」を除く人材サービスはすべて回復傾向にあると言える。「人材派遣業」においては、 規制強化の影響などもあり、現在「派遣⇒請負」へのシフトが進んでいることから、 結果として「派遣」というビジネスのみで見た場合は、減少傾向が続く状況となっている。

市場概況/市場規模推移

2011年度の営業・販売支援人材ビジネス市場規模は2,520億円(前年度比5.0%増)となった。 当該市場は、2009年度にはリーマンショックの影響によりこれまでの右肩上がりの成長から一転して大幅な減少へと転じたものの、 2010年度以降はスマートフォン需要の拡大やメーカーの積極的な新製品投入などのフォロー風を受けて堅調に推移したことから、 再び前年度を上回る実績へと回復している。2012年度予測においても、専業大手を中心に引き続き伸張が予測されることから、 同4.0%増の2,620億円が見込まれる。

営業・販売支援人材ビジネスは、「規制緩和の進展(派遣職種の原則自由化)」 「ユーザ企業でのアウトソーシング志向の拡大(販売・営業業務でのアウトソーシング志向の定着)」 「説明型・契約型・高機能商材/サービスの拡大」「流通形態の変化(大型店舗/チェーン業態の拡大)」 「ユーザ企業での事業コスト削減志向/人員抑制志向」「サービスジャンル/展開領域の拡大」「ユーザ層の拡大/多様化」といった プラス要因があり、2000年頃から急拡大を遂げていた。しかし、大手家電量販店などにおける職業安定法違反/二重派遣問題や、 景気動向に減速感が現出した2007年度以降はそれまでの2桁伸長にブレーキが掛かり、2007年度〜2008年度では5%前後の伸びに留まっている。 そして、リーマンショックの影響を受けた2009年度は、大きく減少に転じており、市場規模2,360億円(前年度比10.9%減)と 2007年以前の数値にまで割り戻している。 この景気後退により、広告宣伝費や販売促進費削減の観点から、企業のマーケティング需要が「マスマーケティング」から 「フィールドマーケティング」ヘシフト(コストの掛かる広告宣伝を抑制し、店頭販促にシフトする流れ)するというプラス要因も一部にみられたものの、 それ以上にモバイル、デジタル、金融など各市場において、企業が販促コストを抑制しマーケットが縮小したことが大きく響いた結果となった。 その他、小売店の新規出店抑制、ネット通販の伸長などもマイナスに作用したものと考えられている。 2010年度では、スマートフォンやタブレットなどの高機能端末の需要拡大や地上デジタルテレビ、 デジタルカメラなどのデジタル家電の旺盛な需要が市場全体のトレントを大きく押し上げ、市場規模2,400億円(前年度比1.7%増)と V字回復とまではいかないものの、人材派遣を始めとした人材ビジネス全体市場が低迷する中でもプラス成長に寄与した。 また、家電エコポイント制度や夏の猛暑によるエアコン・薄型デジタルテレビの買い替え需要の高まりなども、奏功要因として指摘できる。 2011年度については、2011年7月のアナログ放送終了に伴い、 消費者の地上デジタルテレビ購入が一巡したというマイナス要因(家電エコポイント制度の終了や地上デジタルテレビ放送開始に向けた駆け込み需要の反動)があったものの、 引き続きスマートフォンの新商品発売による買い替え需要や高速データ通信等の新サービスの需要の高まりを背景に通信キャリア、 代理店の販売促進活動も活発化し、販売支援に対する需要が高まった。また、2011年3月に発生した東日本大震災の影響についても、 消費マインド低下からくる販売不振や販促キャンペーンの中止などが一時的にあったものの、 震災以降の省エネ・エコ関連商品(LED照明など)に対する需要・関心の高まりが当該市場にとってプラスに作用し、 家電量販店を中心に販売スタッフの需要拡大がみられた。 これらにより、2011年度の市場規模は2,520億円(前年度比5.0増)と前年度を大幅に上回る結果となった。 2012年度についても、とりわけスマートフォン市場の拡大に対する期待は大きく、 そのほかにも高速通信「Wi-MAX」や「LTE」などの普及拡大、太陽光発電やLED電球などエコ関連商品の販売加速化などのフォロー要因が考えられることから、 この上昇トレントは継続するものと予想される。これらの点を踏まえて、 2012年度の当該市場は前年度の伸張率を若干下回る程度(2,620億円/前年度比4.0増)で推移するものと予測している。 なお、派遣規制強化により営業・販売職の人材派遣ニーズは減退しているが、当該市場においては業務請負(アウトソーシング)への切り替え需要で吸収できており、 全体市場に与える影響は少ないと考えられる。

事業者シェア/ランキング

当該市場では従来、人材派遺業大手が上位を占めていたが、ここ数年で専業大手が急速に業容を拡大している。 2011年度では、ランキング1イ立にピーアンドピー、2位にヒト・コミュニケーションズ、3位にジェイコムホールディングス、 4位にバックスグループ、5位にアイヴィジットと続いており、ランキング上位5社までを専業大手が占めている。なかでも、 もしもしホットライン子会社のアイヴィジットが上位に食い込む躍進を見せたことも注目すべき点として挙げられる。 このように当該市場では、ここ数年で専業大手がM&A対応も含めて業容拡大を続けており、先行した人材派遣業大手を圧倒している。 市場特性としては、単独で2桁シェアを持つ事業者はなく、ランキングトップのピーアンドピーでシェアは9.0%となっている。 但し、市場特性は依然として分散状態にはあるものの、専業大手が積極的に事業展開を図っていることから、 今後は専業大手による寡占化が一層進行していくものとみられる。それに伴い、単独で2桁シェアを持つ事業者も出てくると予測される。 ランキング上位事業者をみると、事業規模が100億円を超えるのは上位5イ立までで、そのいずれもが専業事業者となっており、 人材派遣業大手としては6位にランクインしたマンパワーグループが最上位に位置付けられている。このように、 これまで市場を牽引してきた人材派遣業大手を抜き去る形で専業事業者主体の市場構造に転換しつつある。具体的には、 「ピーアンドピー/ヒト・コミュニケーションズ/ジェイコム/バックスグループ/アイヴィジット」といった有力事業者が牽引力を強めており、 総合人材サービス事業者である「セントメディア」も含めた6社は、総売上高ベースで100億円を超える規模となっている。 また、ランキング20位までの合計シェアは64.0%となっており、寡占化が進んでいる状況にある。 なお、その他事業者としては、アデコやセレブリックスなどが有力事業者であるとみられる。 今後の動向としては、派遣から業務請負へのシフトが加速するなか、 中堅以下の事業者は厳しい状況になることが予想される(元請事業者が選別される蓋然性が高い)。 既に、競争力がなく、市場の変化に対応できない事業者の中には、売上減少により倒産・廃業を余儀なくされたケースも出てきている。

市場の特徴とビジネス概要

2011年度の当該市場では、「専業事業者系(業務請負、人材派遣、両者の併用)」が最大の構成を占めており、 当事業年度では6割を超える構成(61.5%/前年度より3.5ポイント増)となっている。 その中では「ピーアンドピー/ヒト・コミュニケーションズ/ジェイコム/バックスグループ/アイヴィジット/セントメディア」が有力事業者で、 この6社は総売上高(連結ベース)で100億円を超える規模となっている。 また、その他には「アイ・ディ・アクセス/エスプール/セールスマーケティング/マーケティング・コア」などがある。 専業事業者系が拡大した背景には、専業大手を中心に業容拡大が続いている点や、M&Aを含めた積極的な事業領域の拡大策が奏効している点などが指摘できる (モバイル分野・デジタル分野・ブロードバンド分野を中心としたユーザ開拓が奏功。また全国展開の進展や新規需要分野の創出などの効果も大きい)。 他方、「人材派遣業系(人材派遣)」では、1999年からの派遣職種の原則自由化によりビジネスチャンスが拡大した上に、 2004年より派遣期間が3年間に延長されたことで、さらなる需要喚起が起きた。特に2000年以降では、モバイル分野やデジタル分野、 さらには金融/流通分野などからの新規需要を獲得したことも奏効要因として挙げられる。 人材派遣業系での有力事業者としては「マンパワーグループ/リクルートスタッフィング/テンプホールディングス/パソナグループ/ランスタッド/アデコ」 などがあり、この6社の関連売上高合計は450億円前後になるとみられる。 このように、人材派遣業系では大手数社が突出した規模となっているが、近年では専業大手に押され、売上高・シェアともに縮小する傾向にある。 人材派遣業系の事業規模が縮小した要因としては、抵触目の影響や派遣業法改正問題などにより'派遣から業務請負'へ需要がシフトしていることが影響していると考えられる。 このような中で、人材派遣業大手では当該ビジネス及びアウトソーシング分野の強化を図る取り組みも見られているが、 スタッフサービスグループが営業職・販売職専門の人材サービス企業として設立した「セールスマーケティング」の株式を譲渡するなど、 営業・販売支援系の業務をグループから切り離す動きも出てきている状況にある。 また、「人材紹介業系(販売職の人材紹介)、他」では、30億円を超える事業者はなく、2009年以降、 雇用環境/経済環境の悪化を受けて低調に推移している。人材派遣業系(2011年度での構成比29.8%)と専業事業者系(同61.5%)では、 2006年度に初めて専業事業者系の構成が人材派遣業系の構成を上回ったが、その後は徐々に差が開く傾向にある。

営業・販売支援人材ビジネスでの契約形態をみると、2008年度では偽装請負問題などがあり、 請負型(アウトソーシング)の事業形態から人材派遣への転換が進んだ。但し、2009年に入ってからは、 金融/経済危機に由来した派遣切り問題が大きく取り上げられたことなどから、再度、請負形態への寄り戻しが起きている。 派遣形態から請負形態への流れは、2010年度以降に一層強まりを見せており、2012年度以降も請負形態の比率が高まっていくと考えられる。 なお、2011年度における専業事業者・上位4社における請負・派遣の売上増減率は以下の通りであり、 4社とも請負では20%を超える売上増がみられているのに対して、派遣では5%以内の伸び率(ピーアンドピーは減少)にとどまっている。 その他には、従来の量販店などへの派遣から、ラウンダーなどメーカーの営業サポート業務へのシフトを図る動きや売場全体としての販促提案を強化する動き、 各種専門店/官公庁へのアプローチを強化する動きも進んでいる。

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